【曖昧】フリースロー時のバイオレーション。ケースで解説します。

バイオレーションの解説

先日、こんなツイートをしました。

#バスケのルールテスト
A1がフリースローを2本打つ。最後のフリースローを打つ時、リバウンドの位置にいるB1はシュートが打たれる前に制限区域に入った。また3ptラインの外にいたA2はシュートが手から離れた直後、制限区域内に飛び込んだ。シュートは外れ、B1とA2でリバウンド争いが起きた。

今回は四択問題。

60人くらいの方に投票いただきましたが、面白い形に回答がバラツキましたね。

果たして、今回はどれが正解だったのか。解説していこうと思います。

内容は以下の通りです。

  • フリースロー時のバイオレーション。ケースで解説します。
  • 認識齟齬を生む原因
  • 少しでも貢献できるように頑張ります。

この記事は、「バスケ歴20年」「JBA公認審判」である筆者による解説となります。ルールブックにのっとりながら丁寧に説明をしていきますね。

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フリースロー時のバイオレーション。ケースで解説します。

さっそくですが、今回のケースの答えです。

答え:両チームバイオレーションとなり、ジャンプボールシチュエーションから再開となります。

60%の人は、Bチーム側だけのバイオレーションと考えられてましたが、今回のケースは、両チームともバイオレーションをしているんですね…!

正答率29%。今回もなかなか低い結果となりました。それだけ、みなさんの肌感ルールと正しいルールの間には、大きなギャップがあるということです。怖い怖い。

間違えた認識を変えられるよう、さっそくルールブックに照らし合わせて解説をしていきます。

リバウンド位置にいない選手のバイオレーション

今回のケースでいうと、B1選手がシュートより先に制限区域に入ってしまったことは、ほとんどの方がバイオレーションであると理解できているでしょう。

実際の試合でも、よくあるケース。審判がフリースローを打ち直させている場面をみたことはあるでしょう。

ではA2選手はどうなのでしょうか。

ルールブックには以下のような定義があります。

フリースローのときにリバウンドの位置を占めないプレーヤーは、フリースローが終わるまでフリースローラインの延長線上より後ろでスリーポイントラインの外側にいなければならない。

P54 第43条 フリースロー 43-2-5 2019バスケットボール競技規則

この「フリースローが終わるまで」というのがポイントです。

こちらの表現、けっこう解釈が難しいのが悩ましいところです。何をもってフリースローの終わりなのか、と。

そのため、過去のルールブックなども遡りながら調べたところ、かつては以下のようにより丁寧な表現がされていました。

リバウンドの位置を占めないプレイヤーは、ボールがリングに触れるかフリースローが終わるまでは、フリースローラインの延長上より後方でスリーポイントラインの外側にいなければならない。

つまり、今回のケースでいえばA2が行なった「シュートが手を離れた瞬間、制限区域に飛び込む」という行為は、ボールがリングに触れる前のできごとなので、バイオレーションとなります。

(なんの説明もなく、微妙に表現かわるの辛いですね…。私がその変更についての発信を把握しきれてなかっただけならいいのですが…)

その結果、両チームバイオレーションとなりますので、

◦ 最後のフリースローで両チームのバイオレーションであれば、ジャンプボールシチュエーションになる

P55 第43条 フリースロー 43-3-3 2019バスケットボール競技規則

というルールが適応され、ジャンプボールシチュエーションによる再開となります。

認識齟齬を生む原因

今回の解説は以上なのですが、そもそも、今回のケースで、なぜ投票結果のような認識齟齬が生まれるのか。その原因をいくつか考えてみましたのでご紹介します。

NBAスーパープレイの功罪

まず1つ考えられるのが、こちらの動画。

マイケルジョーダン伝説のフリースローリバウンドからの直接ダンクMichael Jordan free throw put

バスケットボールに携わる人であれば知らない人はいない、NBA選手マイケルジョーダン。このyoutube以外にもたくさんのメディアで紹介される、とても有名なプレイです。

こちらのプレイ。先ほどのルールに則ると完全にNGですよね…。

正直なところ、これは当時のNBAルールとしてはOKだったのか、ダメだけど盛り上がったからスルーしたのかは、私もわかりません。

ただ、これだけ有名な選手が行なっているプレイだからこそ、日本のルール上もOKなのでは?という勘違いが生まれてもおかしくはありません。

NBAと国際試合では、実際ルールも異なるのですが、この事実を知らない人にとっては、大きな落とし穴なのではないでしょうか。

審判もちょっとルーズ?

これは完全に私個人の肌感覚なので、その前提で理解をしていただきたいのですが。

フリースローの時、リバウンド外の選手におけるバイオレーションについては、審判の方もけっこうウヤムヤにしているケースが多くないでしょうか?

細かいルールなので、浸透していないということもあるかもしれませんが…。それにしても、フリースローラインよりゴール寄りのエリアに、打った直後から少し入っている→けれどもお咎めなし、というケースが多い気がする。

実際ほとんど影響がないことばかりですが…審判なのであれば、厳密に判定ができるようになりたいですよね。私もこの時ばかりはいつも以上に集中するようにしています。

ルールの変遷が分かりづらい

また、根本としてもう1つ。ルールの変遷がとても分かりづらい…!

もちろん、JBAもルール変更があれば、その度に補足や解説文章を公開しています。これを見れば、アップデート部分だけを抜粋して理解することができます。

ただし、それも最近のものしかほとんど掲載されておらず。

頑張って調べれば、昔だされた断片的な情報を見つけることはできますが、サイトがリニューアルされたこともあってか、なかなか過去の情報を得ることができない状態です。

もちろん、そんなニーズは限りなく小さいと思うのでどこまで対応するかですが…。いつからルールが適応されたのか、きちんと調べることができないというのは不便ですよね。

ルールブックはバスケにおける聖書にもなりますので、少しでも変更があれば、いつ・何が起こったのか、遡りやすくなってくれると、正しく把握することができるのになと感じました。

少しでも貢献できるように頑張ります。

改めて、今回のケース答えてみて、いかがでしたでしょうか?

冒頭にも書いた通り、今回の正答率は29%。ルールの世界がまだまだ正しく浸透していない事実がここにはあります。

もったいないバイオレーションを行わないためにも、ルールを正しく理解する習慣をつけましょう。

私も少しでも貢献できるよう、なるべく分かりやすく、正しい情報をお届けしてまいります。

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