*この記事は「JBA2019バスケットボール競技規則」を読みやすいように再編集しています。
- 第33条:コンタクト(体の触れ合い)の基本概念
- 33-1 シリンダーの概念
- 33-2 バーティカリティ(真上の空間の概念)
- 33-3 リーガルガーディングポジション
- 33-4 ボールをコントロールしているプレーヤーをガードすること
- 33-5 ボールをコントロールしていないプレーヤーをガードすること
- 33-6 空中にいるプレーヤー
- 33-7 正当なスクリーン、不当なスクリーン
- 33-8 チャージング
- 33-9 ブロッキング
- 33-10 ノーチャージセミサークルエリア
- 33-11 手や腕で相手チームのプレーヤーに触れること
- 33-12 ポストプレー
- 33-13 後方からの不当なガード
- 33-14 ホールディング
- 33-15 プッシング
- 33-16 フェイク(ファウルをされたと欺くこと)
- 関連する条文も合わせてチェック
第33条:コンタクト(体の触れ合い)の基本概念
33-1 シリンダーの概念
- プレーヤーがコート上で普通に立ったとき、そのプレーヤーが占めている位置とその真上の空間をシリンダー(筒)という。シリンダーとは、以下の範囲が含まれる:
- 正面は手のひらの位置まで
- 背面は尻の位置まで
- 側面は腕と脚の外側の位置まで
- 手や腕を前に伸ばしてもいいが、足の位置を超えてはならない。手を肘の位置で曲げてもいいが、前腕と手は挙げなくてはならない。両足の間隔はプレーヤーの身長により決められる。
33-2 バーティカリティ(真上の空間の概念)
- ゲーム中全てのプレーヤーは、相手チームのプレーヤーが占めていない位置であれば、コート上のどのような位置でも占めることができる。
- この概念は、コート上にプレーヤーが占めた位置の権利およびそのプレーヤーが真上にジャンプする権利も含まれる。
- 自分のシリンダーから外れた空間で、すでに自分のシリンダーを占めている相手チームのプレーヤーと触れ合いを起こしたときは、自分のシリンダーから外れているプレーヤーにその触れ合いの責任がある。
- ディフェンスのプレーヤーが、自分のシリンダー内でジャンプしたり手や腕を上げていて触れ合いが起こっても、そのプレーヤーに触れ合いの責任はなく、罰則が科されることはない。
- オフェンスのプレーヤーは、コート上にいるときでもジャンプをして空中にいるときでも、リーガルガーディングポジションを占めているディフェンスのプレーヤーと次のような触れ合いを起こしてはならない:
- 腕で相手チームのプレーヤーを払いのけたりして、自分に有利な空間をつくること
- ショットの動作中やショットをした後に、脚や腕を広げて触れ合いを起こすこと
33-3 リーガルガーディングポジション
- ディフェンスのプレーヤーは以下の2つの条件を満たしたとき、リーガルガーディングポジションを占めたとみなされる:
- 相手チームのプレーヤーに正対する
- 両足をフロアにつける
- リーガルガーディングポジションには真上の空間も含まれるので、真上の空間の内側であればまっすぐ上に手や腕を上げたり真上にジャンプしてもよいが、シリンダーの外に外れてはならない。
33-4 ボールをコントロールしているプレーヤーをガードすること
- ボールをコントロールしている(ボールを持っているかドリブルをしている)プレーヤーに対しては、相手の速さと距離にとらわれずにガードをすることができる。
- ボールをコントロールしているプレーヤーは、いつでもガードされることを予測し、相手チームのプレーヤーがどれだけ素早く最初のリーガルガーディングポジションを占めたときにも、止まったり方向を変えたりして、体の触れ合いを避ける用意をしていなければならない。
- ディフェンスのプレーヤーも、その位置を占める前に体の触れ合いを起こさないように、相手より先にリーガルガーディングポジションを占めなければならない。
- 先にリーガルガーディングポジションを占めたディフェンスのプレーヤーは、相手チームのプレーヤーをガードするために位置を変えてもよいが、腕を広げたり、肩、腰、脚などを使ったりして脇を通るドリブラーを妨げてはならない。
- 審判は、ボールをコントロールしているプレーヤーとそのガードしているプレーヤーとの間に触れ合いが起こったとき、次の原則にしたがってチャージングかブロッキングかを判定する:
- ディフェンスのプレーヤーは、ボールをコントロールしている相手チームのプレーヤーに向き、両足をフロアにつけることで最初のリーガルガーディングポジションを占めなければならない
- ディフェンスのプレーヤーは、その場で止まる、真上にジャンプする、相手の動きと平行にあるいは後ろに動くことでリーガルガーディングポジションを維持する
- 相手の動きと平行あるいは後ろに動くときに、片足または両足が瞬間的にフロアから離れることは、引き続きリーガルガーディングポジションを維持していることになるが、ボールを持っているプレーヤーに向かって動いたときは、両足をフロアにつけなければならない
- ディフェンスのプレーヤーが先に位置を占めていてそのトルソー(胴体)に触れ合いが起きたときには、ディフェンスのプレーヤーがリーガルガーディングポジションを占めていたとみなされる
- リーガルガーディングポジションを占めたディフェンスのプレーヤーは、怪我を避けるためにシリンダー内で体を回転してもよい
- 上記の状況では、ボールを持っているプレーヤーに触れ合いの責任がある。
33-5 ボールをコントロールしていないプレーヤーをガードすること
- ボールをコントロールしていないプレーヤーは、誰でもコート上を自由に動いて、他のプレーヤーが占めていないコート上のどの位置でも占めることができる。
- ディフェンスのプレーヤーは、ボールをコントロールしていないプレーヤーをガードするときは相手の速さと距離を十分に考慮して位置を占めなければならない。動いている相手チームのプレーヤーが止まったり方向を変えたりして触れ合いを避けることができないほど、急にまた近くに位置を占めてはならない。
- 位置を占めるときの距離は相手の速さによるが、通常の1歩の距離は必要である。
- ディフェンスのプレーヤーが、相手の速さと距離の関係を考慮しないで位置を占めて触れ合いが起こったときは、そのディフェンスのプレーヤーに触れ合いの責任がある。
- 一度リーガルガーディングポジションを占めたディフェンスのプレーヤーは、相手チームのプレーヤーをガードするために位置を変えてもよいが、腕を広げたり、肩、腰、脚などを使ったりして脇を通るプレーヤーを妨げてはならない。リーガルガーディングポジションを占めたディフェンスのプレーヤーは怪我を避けるためにシリンダー内で体を回転してもよい。
- リーガルガーディングポジションを占めたプレーヤーであっても、腕を広げたり、肩、腰、脚などを相手チームのプレーヤーの進路上に出したりして、脇を通る相手を妨げてはならない。
33-6 空中にいるプレーヤー
- コート上でジャンプをしたプレーヤーには、元の位置に下りる権利がある。
- コート上でジャンプをしたプレーヤーには、元の位置と違うところでも、ジャンプをした時点でジャンプをした位置と着地する位置の間に相手チームのプレーヤーが位置を占めていなかった場所に下りる権利がある。
- ジャンプをしたプレーヤーが元の位置と違うところに下りた勢いで、すでに近くにリーガルガーディングポジションを占めていた相手チームのプレーヤーと触れ合いを起こしたときは、ジャンプをしたプレーヤーに触れ合いの責任がある。
- 相手チームのプレーヤーは、プレーヤーが空中にジャンプをした後からそのジャンプをしたプレーヤーの軌道に入ってはならない。
- 空中にいるプレーヤーの足元に入って触れ合いを起こすことは、通常はアンスポーツマンライクファウルであり、場合によってはディスクォリファイングファウルになる。
33-7 正当なスクリーン、不当なスクリーン
- スクリーンとは、プレーヤーがあらかじめ任意の位置を占めることによって、ボールをコントロールしていない相手チームのプレーヤーが、コート上の望む位置に行くことを遅らせたり妨げたりしようとするプレーのことをいう。
- 正当なスクリーンとは、スクリーンをかけるプレーヤーが:
- 止まっていて、シリンダー内で、体の触れ合いが起こる
- 両足がフロアについていて、体の触れ合いが起こる
- 不当なスクリーンとは、スクリーンをかけるプレーヤーが:
- 動きながらスクリーンをかけて、触れ合いが起こる
- 止まっている相手チームのプレーヤーの後ろ(視野の外)から十分な距離をおかずにスクリーンをかけて、触れ合いが起こる
- 動いている相手チームのプレーヤーに対して、時間と距離を考慮せずに触れ合いが起こる
- 止まっている相手チームのプレーヤーの視野の中でスクリーンをかけるプレーヤーは、触れ合いを起こさない限り相手の近くに位置を占めてよい。
- 止まっている相手チームのプレーヤーの後ろ(視野の外)からスクリーンをかけるプレーヤーは、相手が普通に動いても触れ合いが起こらない1歩の距離をおいて位置を占めなければならない。
- 動いている相手チームのプレーヤーにスクリーンをかけるプレーヤーは、相手が止まったり方向を変えたりして触れ合いを避けられるだけの距離をおいて位置を占めなければならない。(スクリーンをかけようとする相手チームのプレーヤーとの間に)必要とされる距離は通常の1歩から2歩である。
- 正当なスクリーンをかけられた場合、スクリーンをかけたプレーヤーとのいかなる触れ合いについても、スクリーンをかけられたプレーヤーに触れ合いの責任がある。
33-8 チャージング
- チャージングとは、ボールを持っていてもいなくても、無理に進行して相手チームのプレーヤーのトルソー(胴体)に突き当たったり押しのけたりする不当な体の触れ合いのことをいう。
33-9 ブロッキング
- ブロッキングとは、相手がボールを持っているかいないかにかかわらず、相手チームのプレーヤーの進行を妨げる不当な体の触れ合いのことをいう。
- 相手が止まっている、あるいはスクリーンを避けようとしているのに、スクリーンをかけようと動いているプレーヤーが触れ合いを起こしたときは、ブロッキングのファウルになる。
- プレーヤーがボールの位置に関係なく、相手チームのプレーヤーに向いて相手の動きに合わせて動くときは、別の理由がない限り、そのために生じた全ての触れ合いの責任はそのプレーヤーにある。
- ここでいう「別の理由」とは、スクリーンをされるプレーヤーに責任があるプッシング、チャージング、ホールディングなどをいう。
- コート上で位置を占めているとき、腕を広げたり肘を張ることは正当であるが、相手チームのプレーヤーが脇を通り抜けようとするときには、腕や肘を自身のシリンダーの中に収めなくてはならない。
- 腕や肘をよけないで触れ合いが起こったときは、ブロッキングもしくはホールディングになる。
33-10 ノーチャージセミサークルエリア
- ノーチャージセミサークルエリアは、バスケット近辺でのチャージングやブロッキングの特別な規則の適用のため、指定されたエリアのことをいう。
- ノーチャージセミサークルエリアにペネトレイトしてくるプレーにおいて、空中にいるオフェンスのプレーヤーがノーチャージセミサークルエリアにいるディフェンスのプレーヤーと触れ合いを起こしても、オフェンスのプレーヤーが手、腕、脚、その他の体の部位を不当に使って触れ合いを起こした場合を除き、オフェンスファウルは宣せられない。
- この規則が適用されるのは以下の全ての条件を満たす場合である:
- オフェンスのプレーヤーが空中でボールをコントロールしていること
- そのオフェンスのプレーヤーがショットあるいはパスをしようとすること
- そのオフェンスのプレーヤーとの間に触れ合いが生じたディフェンスのプレーヤーの片足あるいは両足が、ノーチャージセミサークルエリア内のフロアあるいはノーチャージセミサークルのラインに触れていること
33-11 手や腕で相手チームのプレーヤーに触れること
- プレーヤーが相手チームのプレーヤーに手や腕で触れることがあっても、必ずしもファウルではない。
- 審判は、プレーヤーが相手チームのプレーヤーに手や腕で触れたり触れ続けていることで、触れ合いを起こしたプレーヤーが有利になっているか否かを判断し、相手チームのプレーヤーの自由な動き(フリーダムオブムーブメント)を妨げているときには、ファウルの判定を下す。
- 相手チームのプレーヤーがボールを持っていてもいなくても、ディフェンスのプレーヤーが突き出した手や伸ばした腕で、相手に触れ続けて相手の動きを妨げることはファウルである。
- 相手チームのプレーヤーがボールを持っているかいないかにかかわらず、繰り返し触れたりする行為は、乱暴なプレーにつながる可能性があるためファウルである。
- ボールを持っているオフェンスのプレーヤーが起こす、以下の触れ合いはファウルである:
- 自分が有利になるために、腕や肘でディフェンスのプレーヤーの体を押さえたり(フック)巻きつけるように回したり(ラップ)すること
- ディフェンスのプレーヤーがボールにプレーすることを妨げる、あるいはディフェンスのプレーヤーとの間隔(スペース)を広げようとして、相手を押しのけること(プッシュオフ)
- ドリブルをしているときに、ボールを取ろうとするディフェンスのプレーヤーの動きを前腕や手を使って妨げること
- ボールを持っていないオフェンスのプレーヤーが起こす、以下の触れ合い(プッシュオフ)はファウルである:
- ボールを受け取りやすくしようとして、ディフェンスのプレーヤーを押しのけること
- ボールにプレーしようとするディフェンスのプレーヤーを妨げようとして、相手を押しのけること
- 自分に有利になるように相手との間隔(スペース)を広げようとして、相手を押しのけること
33-12 ポストプレー
- バーティカリティ(シリンダーの概念)の考え方は、ポストプレーにも適用される。
- ポストにいるオフェンスのプレーヤーもそのディフェンスのプレーヤーも、互いに相手の真上の空間(シリンダー)の権利を重んじなければならない。
- ポストの位置を占めているオフェンスのプレーヤーあるいはディフェンスのプレーヤーによって、肩や尻で相手チームのプレーヤーを押し出すことや、腕、肩、尻、脚、あるいはその他の体の部分を伸ばして相手の自由な動き(フリーダムオブムーブメント)を妨げることはファウルになる。
33-13 後方からの不当なガード
- 後方からの不当なガードとは、ディフェンスのプレーヤーが、相手チームのプレーヤーの後ろから起こす不当な体の触れ合いのことをいう。
- ボールにプレーしようとしても、後ろから相手と触れ合いを起こしてよいことにはならない。
33-14 ホールディング
- ホールディングとは、相手プレーヤーの自由な動き(フリーダムオブムーブメント)を妨げる不当な体の触れ合いのことをいう。この体の触れ合い(押さえること)はどの部分を使っていてもホールディングになる。
33-15 プッシング
- プッシングとは、相手チームのプレーヤーがボールを持っていてもいなくても、手や体で相手を無理に押しのけたり押して動かそうとする不当な体の触れ合いのことをいう。
33-16 フェイク(ファウルをされたと欺くこと)
- フェイクとは、状況を有利にするためにファウルをされたふりをする、またはファウルをされたと判断されるために大げさな演技をすることをいう。