先日、こんなツイートをしました。
【#バスケのルールテスト】
A2がバックコートからフロントコートにいるA4に向かってパスをした。そのパスの途中、ボールが空中にある時、センターラインをまたいで立っているB2に正当にはじき出され、ボールはチームAのバックコートでアウトオブバウンズとなった。ここまでで時間は5秒経過していた。
今回も100人くらいの方に投票いただきました。そしてまさかの結果に。
今回はこちらのケースについて解説をしていこうと思います。
内容は以下の通りです。
- これは8秒?1つのケースで解説します。
- 肌感ルールには落とし穴があります。
この記事は、「バスケ歴20年」「JBA公認審判」である筆者による解説となります。ルールブックにのっとりながら丁寧に説明をしていきますね。
これは8秒ルールに該当?あるケースで解説します。
さっそくですが、今回のケースの答えです。
答え:8秒はリセットされます。
今回のケースでは、8秒はリセットされるのが正しい答えです。継続ではありません。
まさかの正答率28%…。みなさんの肌感ルールと正しいルールの間には、大きなギャップがあることが数字にも出てきましたね…!
とりあえず、まずはルールブックに照らし合わせて解説をしていきます。この機会にしっかり正しい知識をつけておきましょう。
そもそも何をもってボールを運んだことになるのか
今回のケースを考える上で大切なのは「何をもってフロントコートまでボールが運ばれたことになるのか」ということです。
ルールブックには以下のような定義があります。
ボールがフロントコートに進められたとは、以下のことをいう:
P35 第28条 8秒ルール 28-1-2 2019バスケットボール競技規則解説
◦どのプレーヤーにもコントロールされていないボールが、フロントコートに触れる
◦両足が完全にフロントコートに触れているオフェンスのプレーヤーに、ボールが正当に触れる
◦体の一部がバックコートに触れているディフェンスのプレーヤーに、ボールが正当に触れる
◦ボールをコントロールしているチームのフロントコートに体の一部が触れている審判に、ボールが触れる
◦ バックコートからフロントコートへドリブルをしている間に、ボールとドリブラーの両足が完全にフロントコートに触れる
ポイントになるのは、この1文です。
「体の一部がバックコートに触れているディフェンスのプレーヤーに、ボールが正当に触れる」
今回のケースでは、ディフェンス側であるB2はセンターラインをまたいでいました。つまり、B2はフロントコートにもバックコートにも触れていることになります。
この状態でB2がボールを正当にはじき出した、ということは、上記一文にある「正当に触れる」という部分に該当することになります。これにより、ボールはフロントコートに運ばれたことになりました。
つまり、今回のケースでは、ボールがフロントコートに運ばれたのち、改めてバックコートからのスローインになっている。8秒はリセットされる、ということになります。
あと3秒で運ばないとバイオレーションになってしまう…!という逼迫したシチュエーションではないので、ルールを正しく知っていれば、プレイヤーも焦らなくて済みますね。
肌感ルールには落とし穴があります。
さて今回のケース答えてみて、いかがでしたでしょうか?
冒頭にも書いた通り、今回の正答率は28%。
バスケットボールに携わっている人たちが回答しても、正しいルールはこれだけしか認知されていません。この事実、かなり衝撃ではないでしょうか。(少なくとも私はそうでした。)
ケースとしては、そこまで珍しいものではありません。プレイヤーであれば誰でも1回は遭遇することがあると思います。それでもこの正答率です。
このように、肌感覚でルールを判断していると、思わぬ落とし穴にハマることがあります。誤った理解で、勝手に不利なシチュエーションに追い込まれても、もったいないですよね。
だからこそ、コーチもプレイヤーも、一度は厳密にルールを確認してみる習慣をつけてみてほしいのです。
このサイトではルールブックの全文も掲載しています。まずは、この機会に8秒ルールに目を通してみましょう。そして、気になるシチュエーションがあれば、ルールブックで確認をする癖をつけていきましょう。