【難題】退場したプレイヤーがファウルをされたら?ケース解説します

ファールの解説

先日、こんなツイートをしました。

#バスケのルールテスト
3Q途中A1は5個目のパーソナルファウルをして失格となりチームベンチに戻った。しかし4Q途中にA1は交代をしてゲームに戻った。審判がドリブル中のA1に対してのパーソナルファウルをB1に宣した時、審判は不当な出場に気がついた。これはBチームの5個目のチームファウルだった

今回も少しマニアックな問題を出しています。

退場したプレイヤーが、改めてしれっとコートに出てきてしまったら…?そして、そのプレイヤーがファウルを受けてしまったら…?

一瞬どのような処置を施していいのか、分からなくなりそうなケースですよね。

ルールブックを読んでいくと、こういったケースにも対応できるようになるんです!

今回も丁寧に解説していこうと思います。

内容は以下の通りです。

  • 退場したプレイヤーがファウルをされたら?ケース解説します
  • ルールブックで理解を深めましょう

この記事は、「バスケ歴20年」「JBA公認審判」である筆者による解説となります。ルールブックにのっとりながら丁寧に説明をしていきますね。

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退場したプレイヤーがファウルをされたら?ケース解説します

まずはさっそく、今回のケースの答えです。

答え:B1のファウルは有効。A1ではなく交代選手がフリースロー

今回のケースでは、このような処理になります。

正答率はなんと68%。

正直ここまで高いとは思いませんでした。過去出題をしてきたなかでもかなり高い正答率です!(もっと簡単な問題もたくさん出してきたと思うんですがね…笑)

一見すると難しくも感じる今回のケースですが、冷静に考えていけば、正解にたどりつけるということですね。素晴らしい。

それでは、不正解だった人のためにも、改めて順をおって解説をしていきます。

退場したプレイヤーが再びコートに戻るのってありなの…?

今回のケースで一番気になるのは「退場したプレイヤーってまたコートに出ていいの?それってありなの?」という部分かと思います。

普通に考えたら、戻ってきちゃだめですし、万が一戻ってしまったとしても、何が起ころうと全て無効であるような気もしますよね。

このようなケースに対して、ルールブックでは以下のように定義がされています。

5個目のファウルにより失格になったことを宣せられたプレーヤーがゲームに再び出場し、ショットを成功させる、ファウルを宣せられる、あるいは相手チームにファウルをされるなどしたのち、不当な出場であることに気がついた。得点は全て認められ、そのプレーヤーがした(された)ファウルもプレーヤーのファウルとみなす。

P145 第36条 テクニカルファウル 36-11 2019バスケットボール競技規則

はい。なんとルールではこのように明言されているのです。

つまり、もし失格となった選手が再びコートに戻ったとしても、誰も気がつかないのであれば、その間におこったプレーは全て有効になる、ということです。

極端な話、5回ファウルをして退場したプレイヤーも、誰にも気付かれずにコートに戻ったとしたら、6回目のファウルをできてしまう、ということもいえます。

なんとも不思議な状態ですよね。でもルール上はありなんです。

ファウルをされてフリースローになったら?

というわけで、もしコートに戻ったとしても、全ての得点やファウルは有効であることが分かりました。

それでは、受けたファウルがチームファウルやシュートファウルであった場合はどうなるでしょう。続くフリースローの処理の部分でまた悩みますよね。

こちらについてもルールブックでは以下のように明記されています。

5個目のファウルにより失格になったことを宣せられたA1が、そのあと交代をしてゲームに戻った。A1の不当な出場に気がついたのは以下のときであった:
⒜A1がショットを成功させたあと。
⒝A1がファウルを宣せられたあと。
⒞A1がドリブル中にB1にファウルをされたあと(チームBの5個目のチームファウル)。



⒜B1の得点は認められる。
⒝B1のファウルはプレーヤーのファウルとされ、スコアシート上では5個目のファウルの隣に記
録される。
⒞A1と交代したプレーヤーがフリースロー2本を打つ。

全ての場合において、コーチAにテクニカルファウルが宣せられ「B1」と記録される。

P145 第36条 テクニカルファウル 36-12 2019バスケットボール競技規則

今回のケースは、ルールブックの(c)に該当しますよね。

こちらで書かれているとおり、フリースローはA1と交代した選手が打つことになります。

さすがに不正な出場に気づいたのであれば、そのままプレーを続けさせるわけにはいきませんからね。先に交代をさせ、そのあとフリースローという流れが自然になります。

ちなみに、上記ルールにも明記されていますが、どのケースにおいてもコーチAに対してテクニカルファウルが与えられます。

つまり、正確な処置としては

  • A1の交代
  • コーチAのテクニカルファウル
  • チームBはコーチAに吹かれたテクニカルファウル分のフリースロー1本を打つ
  • A1と交代した選手がフリースロー2本を打つ
  • そのままゲーム続行

このような流れになりますのでご注意ください。

ルールブックで理解を深めましょう

さて、今回の解説は以上です。いかがでしたでしょうか?

正直、今回はかなり特殊なケースです。普通、退場したプレイヤーも、そのコーチも、再びコートに戻そうとはしませんからね。テーブルオフィシャルも審判も、普通戻ってくるとは思いません。

けれど、そうした心理が働いているからこそ、このルールを悪用してくるチームがあったらどうでしょう。誰もそんなことが起きるとは思ってもいないからこそ、意外と気付かず交代できてしまうこともあるのではないでしょうか。

そんな時に、慌てず対処するためにも、正しいルールの学習は必要です。

もしこんなことが起こったらどういう処理になるんだろう。そんな疑問を持ったら、必ず調べて解決するような習慣をつくりましょう。

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